我々は如何にしてACLストレートイン一枠を失ったのか。如何に挽回すべきか


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既報通り、正式に発表されました。(えっJFAは把握してなかったの?という疑問はありますが)
何故こうなってしまったのか、今後どうすれば良いのかをまとめます。(たぶん長いです)

◆AFCランク

2016年まではAFCテクニカルランキングと呼ばれていました。AFC主催のクラブの国際大会でのポイントを70%、FIFAポイント(A代表の試合)を30%として合算したものです。日本はクラブではいまいちだったものの、代表のポイントでかろうじて東アジア二位を保てていました。

2017年からはAFC Club Competition Rankingとして、7:3だったクラブ:代表の比率が9:1に変わりました。今回、この新ランキングで代表での成績の優位性が低まり、中国に抜かれる結果となりました。
次回(おそらく2019年11月)の出場枠確定は、クラブ:代表の比率が10:0になります。

何故代表のポイントが低まり、そして外されるのか。中国の陰謀ではないか、という声もありますが、僕はこれは正しい姿だと思います。
理由としては、

  • ACLが手本としたUEFA CLはずっとクラブ100%であること
  • 本田選手や香川選手のワールドカップでの活躍が、AFCのクラブランキングに算入される奇異さ
  • (理事を買収したとかならアレですが)AFCの決定プロセスはスポンサーや1協会の意向が反映されるものではない

(そもそもAFCの公式スポンサーに中国企業が山ほどいるわけでもない)

です。じゃあ逆に今まで何で代表のポイントをわざわざ入れていたかと言うと、最新のAFCのランキングを見れば分かりますが、

AFC Club Competitions Ranking | AFC

クラブでのポイントがゼロ(つまり国際大会に参加できてない)の協会が多いのです。これを順位つけしようと思ったら代表の成績を加味するしかないのです。
で、今年(2017年)、ACL/AFCカッププレイオフ参加でもポイントを与え、AFCカップのフォーマットを大きく変え、今までクラブの実績がなかった(政治的な関係もありますが、主に金銭的に厳しかった)協会も参加しやすくなりました。
結果、北朝鮮・カンボジア・アフガニスタン・ブータン・スリランカがはじめてクラブポイントを得ました。(AFCカップに参加したモンゴルがポイントゼロだったのはAFCも計算外だったと思いますが、おそらくこれは出場ポイントという形で改正されると思います)
来年(2018年)は、棄権がなければ、台湾・マカオもAFCカップに参加します。
FIFAの制裁化だったり、ホントにお金がなかったり(=AFCライセンス取得できない)下位の協会は大変だと思いますが、アジアのクラブのランキングが、アジアのクラブの試合のみで決まっていくのは正しい姿だと思います。今はその姿に向かう途中なのだと思います。

◆AFCランクの更新年

これが今回、やられちゃったヤツなんですが、今までは、

2015年・2016年の出場枠→2014年11月に決定
2017年・2018年の出場枠→2016年11月に決定

でしたので、誰もが、

2019年・2020年の出場枠→2018年11月に決定

と思い込んでました(ミネ月も)。しかし、2016年にAFCからリリースされた、Entry Manual: AFC Club Competitions 2017-2020には、

2.3. In November 2017, the AFC shall publish the 2017 AFC Club Competitions Ranking.
2.3.1. The MAs ranked 1-12 in each geographic ranking (cf Article 4) are eligible to
participate in the ACL in the 2019 and 2020 seasons.

「2017年11月のランキングで2019年・2020年の出場枠を決める」
と「最初から」書かれていました。(いや誰もが2018年11月の誤記だろうと思い込んでいたのですが…)

何故更新年を一年ずらしたのか?推測というか東アジア視点(西はそもそもまともな競争になってない)になりますが、

ACLにストレートイン枠を持つ協会はAFCカップに参加できない、という規則がありますので、2015年・2016年のヴェトナムのように、晴れてACLにストレートインしたけど、何もできずにAFCカップに逆戻りという状態の改善も一因ではないかと思っています。
(まあACLストレートインとAFCカップ出場を認めれば済む話なんですが)

この状況で、未だクラブポイントを持たない協会には、2018年と2019年の公式戦に出ないとゼロだよ、という布石はできたことになります。

◆浦和が優勝したのに東アジア三位とは

2017年、浦和は1クラブとしては、優勝という形で最高の栄誉を得ました。
しかし、競うのは、日本から出場しているクラブの総計であり、2014-2017年の累計になります。

実は、2014-2017年の「クラブでの取得ポイントの累計」では、

日本:242.6
中国:230.9

と日本の方が上回っています。代表のポイントは当然日本が上ですので、トータルでは負けようがありません。
しかし、東アジア三位。

これは、「毎年のクラブポイントはグループステージに参加したクラブ数で割り平均を取る」というシステムのため、2017年の1クラブ当たりのポイントは、ガンバがプレイオフで勝った日本は4で割り、上海申花が負けた中国は3で割るということになります。

結果として、2014-2017のクラブポイントは

日本:61.6
中国:64.317

となります。これを超えるためには、あと四勝必要でした。あーあの試合勝ってればなあ、というのもありますが、これがガンバがJDTに負けていたら簡単にひっくり返せる数字です。因果応報(違うか)。人間万事塞翁が馬(いやこれも違う)。

◆次回の出場枠更新に向けて

ここは何も情報がないので、2019年11月にクラブ100%で決まる予想するしかないのですが、(そして消えぬACL秋春化の噂)2015-2018、クラブ100%でのランキングはこうなります。

順位 協会 100%ポイント クラブポイント ACL AFCカップ
1 中国 100 55.067 55.067 0
2 カタール 98.789 54.4 54.4 0
3 UAE 98.699 54.35 54.35 0
4 日本 86.441 47.6 47.6 0
5 韓国 86.168 47.45 47.45 0
6 サウジアラビア 78.723 43.35 43.35 0
7 イラン 73.456 40.45 40.45 0
8 豪州 49.758 27.4 27.4 0
9 タイ 47.306 26.05 26.05 0
10 タジキスタン 40.375 22.233 0 66.7

AFCカップのみで10位に入ってきたタジキスタンに胸が躍りますが、そこは置いといて、浦和の最後の一勝で僅かに韓国より上という状況からスタートです。最終的には2016-2019になり、2015年の数値はカットされますが、ここは日本も韓国もほぼ同じ、韓国のほうが僅かに大きいので気にしなくて良いでしょう。

◆つまり

3+1の2018年、2+2の2019年、韓国に離されずついていくことがストレート枠回復への一手になります。
(もちろん、プレイオフで負けるという魔の囁きもあるんですが)

◆ちなみに

2019年・2020年は2+2ですが、

2017年・2018年実績だとプレイオフから(一試合勝てばグループステージ)。
2015年・2016年実績だとプレイオフ(一試合勝てばグループステージ)とプレイオフ予選2(二試合勝てばグループステージ)。

ここはどうですかね、豪州次第(いや上の表だとタイが捲る可能性アリ)みたいな感じですかね。